けれど私は目を見開いた。
驚きに弾かれる私。
私を覗き込もうと背をかがめる九条くん。
反応したときにはもう遅くて、寸前の距離でピタリと止まる私たち。
鼻先にある、九条くんの顔。
すぐに動けなくて、息をとめてじっと見つめている。
澄んだ瞳が目の前できらめいていた。
彼のやわらかな前髪が私の額に触れそうな、そんな至近距離。
優しげに垂れた目尻と、目元にある涙のようなほくろに、心臓が早鐘を打つ。
何センチも離れていない彼の薄い唇に、心臓はもう焦げそうだ。
「ごっ、ごめん、九条くん!!」
ドタバタと物音をたて、テーブルやイスにドカドカぶつかりながら後ずさる。
未だ呆然としている九条くんに、私は犯罪者でもないのに両手をあげて、赤面する。
私、クラスのイケメンになにしちゃってんの!?
爆発してしまいたくなる恥ずかしさに、心の中で叫ばずにはいられない。


