なにが言いたいのかよくわからず首を傾げる私を彼は突然はがし、熱くなってきっとまっ赤になっている頬を包まれた。

「俺が迎えに来てやる。種族の違いも距離も、なにも壁にはならない」

私の心臓は騒がしく音をたてはじめ、目を合わせていることさえ精いっぱいになっていく。

彼が、私よりもずっと大人びた切れ長の目で、私だけを見つめてくれるから。

「もうはなさないって言ったの忘れたか?」

言葉と同時に彼が私の唇を奪い去る。

胸が幸せだと叫んで高鳴る。

彼の甘く優しい、ちょっぴり不器用な口づけ。

でも、彼が精いっぱい伝えようとしてくれているのがわかる。

そっとそっと離れれば、彼はさらさらと揺れる前髪の下で、穏やかに目を細めた。

「なにが邪魔したって、俺たちは一緒だ」

彼から紡がれる愛おしい声。

「うん!」

私は満面の笑顔で跳ねるように頷いた。

私たちの明るい声は一直線に、高い空まで駆けていく。

そして、眩く煌めいた。

いつどこで見上げても、みんなに微笑んでくれる優しい水色の空のもとで。


*fin*