その時、かたわらにいた紫希が囁いて、私の背中をぽんと押し出したのだ。

鈍くさくつんのめりながら、彼を振り返れば、彼が目を細めて珍しくイタズラっ子みたいに歯まで見せて微笑んでいた。

私はそんな彼にありったけの笑顔を返す。

いっぱいのありがとうをこめて。

そして前を向いた。

「ありがとうございます! お待たせしました! 宴、ぱあっとやりましょうね!」

「ノリがいいね! 凛様!」

「凛様の隣で酒が飲めるなんて最高だ!」

村の人の輪の中に飛び込んだ私。

そんな私にあたたかく声をかけて迎え入れてくれるみんな。

私は泣きそうなくらい幸せだ。

でも今泣くなんてもったいない。

今はたくさんたくさん笑っていたい。

この村の仲間とまた笑い合うことが、夢だったから。

そして、改めて気づく。

やっぱりこの村の人たちが大好きだと。

笑顔の輪の中は、この夜空の星よりもずっと近く届くところで、ずっと綺麗に、煌めいているのだから。