優しい紫希。
今確かに私の目の前にある。
私は心のままに抱きしめ返す。
「お前が無事でよかった……。本当によかった……」
互いにきつく腕を回しあう。
「私も、紫希が無事でよかった。なんだか夢みたい……」
これ以上くっつけないというほど、骨までぶつかり合う。
くっついた体が、あたたかい。
胸に押し当てた耳に、彼のゆったりとした鼓動が舞い込んでくる。
あたたかい胸の中に抱かれている。
本当に今目の前に、大好きな人がいる。
「夢じゃない。全部本物だ」
甘い声が私の耳を撫でる。
溢れた涙を紫希の着物が吸い取った。
そして彼は私の肩を支え、少し起き上がらせると、私の頬を両手でそっと包みこむ。
美しく光る黒い瞳が、私だけを深く見つめてくれていた。


