何倍も力がわいてくる。

そうしている間に、紫希は懐から小さな布の包みを出し、私の手に握らせて、深く頷いた。

「お前の母親だってついているんだ。胸を張れ。凛にならできる」

鈴を握った手の平が熱くなる。

この手の平の中にお母さんの魂が宿っているみたいだ。

私はひとりではない。

七瀬くんも乱麻くんも、村の人たちも、お母さんも、紫希だっている。

私は行くんだ。

大切な全部を守るために。

私は鈴をきつく握りしめ、紫希の目をまっすぐに見る。

「うん。紫希、みんなのところへ連れて行って」

いつもの冷静な表情で頷く紫希。

彼の腕に抱きあげられ、翼が大きく空を仰いだ。

さあ、村を守りに行こう。

私たちは、蓋をする木々をぶち破って、空へと飛び出した。