紫希が私のことをそんな風に想ってくれていたの……?
胸が熱くなって、自然に涙が頬を伝う。
紫希はケガをしていない私の左肩に顔を埋め呟く。
かかる息があたたかい。
「でも、俺は守護隊のひとりで、お前の母親の仇である烏天狗の血を引いている。そして何よりお前は人間で、姫巫女でもある。この想いは、押し殺さなきゃいけないと思っていた」
身を切るように切ない裏返った声。
彼の想いが流れ込んでくる。
切ないのに幸せだ……。
私は口を結んで、泣き声を堪える。
すると、紫希は包んだ腕をそっとはなし、私の瞳を彼の黒く煌めく瞳が覗きこむ。
そして、ため息交じりに、低く抑えた声で私に問う。
「なのにお前はそんな俺の気も知らないで、こじ開けて。いいのか、俺で」
真剣なぶれない瞳が私だけをとらえる。
「もう、離してやれないぞ」


