なりふり構わず出し続けていた声が途切れさせられる。
私は声を失い目を見開く。
体が引き寄せられ、体全部が包まれる。
「お前ってやつは、バカだな。いいや、俺がバカなのか」
耳元で紫希の声がする。
私は、彼に抱き締められている。
ぴったりとくっついた体があたたかくて、私は実感しながら、心臓を跳ねさせる。
そして、紫希の声がまた優しく染みる。
「泣き虫で優しいお前を、いつからか、好きになってたよ」
思わず微かな声を漏らす私。
なぜ私なの……?
あんずさんじゃないの……?
驚きすぎて声が出ない。
頬を撫でる森の空気が冷たい。
「人間界にいた16年間、危なっかしいお前を見てきたんだぞ。そうしたら、おかしくて……、愛おしくなってた」
紫希の声が私の胸のまん中へと落ちていく。


