よく見ると琴弥たちのものより小ぶりな翼が、背中で揺らいでいた。

言われなくてもその意味はわかる。

不思議と私は驚いていなくて、ずっと隠してきた彼の気持ちを想うとなんだか切なくて、つい目を伏せた。

紫希は私の肩に手早く手拭いをくくりつけ出した。

私は歯を食いしばる。

痛みが頭にまで走りくる。

ちらりと肩を確認すれば、仰々しい白無垢に赤い血がしみていた。

すると、手ぬぐいを結び終えた紫希の手がそっとキズのあたりを覆おうとして躊躇する。

その手は私の着物にさえ触れることを恐れるように震えていた。

俯いた顔はさらりと下がった髪でなにもうかがえない。

手はやがて触れることなく引っこめられてしまった。

「幸い深手ではない。止血はすんだ」

残りの手ぬぐいを懐にしまいつつ、平静を装った声で私に告げる。