「それ……、どういう意味?」

姫巫女という言葉に、また胸が騒がしくなる。

「姫巫女って、うちの神社が関係してるの? それが私だとでもいうの?」

声が頼りなく震えていた。

うちの神社に古くから伝わる姫巫女の伝説があったはず。

まさか、そんな古い作り話のようなもののせいで、命が狙われることなんてあるだろうか?

「知らなくていい。人間の出る幕じゃない」

彼は意地が悪そうに歯を見せて笑うと、紙を破り捨てた。

散り散りになった紙が、小さな爆発音を轟かせ宙で赤々とした火をふく。

驚きで声を漏らしている間に、紙は灰も残らず消え失せていた。

「わかったなら、知りたがるな。俺には後始末がある。お前は早く立ち去れ」

まるで私を追っ払うみたいに、彼は手についたすすを払う。

彼の声は素っ気なく冷たくて、気だるそうに細められた目で私を見下ろしている。