なんでここでその声が聞こえるの。

不器用で、矢みたいにまっすぐに飛ぶことしか知らない、がむしゃらな声。

胸が張り裂けそうに痛みだす。

ずっと一生懸命にぴんと張っていた気持ちが、崩れていってしまう。

「お前は俺が守ると言ったろ!!」

心からの叫びに弾かれる。

うずめていた顔を一気に上げる。

やっと、やっと彼が見えた。

迷いなくふるわれる刀。

まるで舞うようになびいている艶やかな薄灰色の袖。

そして、強くてまっすぐな眼差し。

紫希だ……。

「少しは俺の言い分もきけ、頑固者! お前をそんな野郎のもとにいかせられるかよ!!」

容赦のない怒鳴り声。

私の方に向けられる紫希の顔。

わっと泣きじゃくる私。