私はそっとうごめき、彼の首筋をたどって顔を見上げた。
まっ黒で艶やかな髪と、窓の外へ投げかけられている殺気立った目。
その黒々と光る瞳に、私は身震いをする。
昨日の着物の彼。
今日、廊下で見かけた彼……。
「あなた……」
私はその瞳の強さに圧倒され、言葉を詰まらせた。
「もう殺気が消えたな」
彼は厳しい眼差しを窓の外へ向けたまま、呆気なく手をほどく。
まくれている袖からは包帯がのぞいていた。
胸の奥がきしむように痛む。
「ありがとう……。大丈夫? 今はケガなかった……?」
昨日怪我した場所をちらりと見ながら、彼の顔を見られずに問いかける。
申し訳ない気持ちが押し寄せて、出しかけた手を中途半端にひっこめた。


