静かに告げる私。
舌打ちが微かに聞こえると、響は男の腹を蹴り上げ、背を向けた。
男は激しくせき込み腹をおさえ、不思議そうに揺れまどう瞳で私を見つめていた。
私は静かに男を睨む。
「私は姫巫女でも神様のような心は持ってない。私は、母を奪われた16歳の娘よ。本当はあなたに、いなくなってもらいたい」
男は唇をかみしめ、目を伏せた。
さも悲しげに。
私はその顔を見て、後ろできつく拳を握りしめた。
でもその拳をぶつけることは叶わない。
想いが胸を破りそうなくらいわいてくる。
涙が溢れてくる。
「ただ、あなたの命を奪ったところで、お母さんは返ってこないし、私とお父さんの苦しみは元には戻らないわ。なのに、あなたなんかのために人殺しになりたくない」
ついにタガが外れて、私は吠えかかるように想いをぶちまける。
「私は雨宮おじさんを信じていたのに、酷過ぎる! あなたはお母さんの命を奪っただけだと思っているでしょ! それだけじゃない!」


