強い腕力に体を絡めとられ、一瞬のうちに誰かの胸に収められる。
かたい胸に顔を押しあてられ、覆い隠すようにきつく抱きしめられる。
覆われた視界の中で、土砂降りの雨のようなガラスの降る音が脳内にまで響き渡る。
そして、なにかが壁に突き刺さる音がし、一気に静寂が戻った。
膝の震えが止まらない。
誰かもわからない胸で、私は恐怖で叫びそうな声を必死に噛み殺す。
その時、ぎこちない手つきで後頭部を撫でられた。
その感触で、ふいに肩から力が抜ける。
誰の足音も、襲撃の音ももうしなかった。
彼の胸で微かに首を動かすと、少し早い鼓動が鼓膜に伝わってくる。
早鐘のようになっている私の鼓動に重なっていく。
頬に伝わる彼の体温が熱い。
呼吸が荒く、胸が上下している。


