自然と涙が溢れた。
イヤだ、こんな人たちのところへ行きたくない。
私は弱い力で彼の体を押し返す。
畳の上を滑るばかりの足で畳を蹴る。
ほくそ笑む声が聞こえた。
「そんな力で抵抗できると思ってる?」
私は彼の体に拳を叩きつけ、声を噛み殺して涙を流す。
紫希……紫希……!
頼もしい輝く灰色の背中が何度もよみがえる。
紫希!
私は涙に溢れた瞼の内側で何度も叫んだ。
すると、部屋の中へ一気に風が吹きつけた。
あまりの風に、私は響の腕に押しつけられた。
私は細めた目を慌てて開ける。
「し……き……?」
「騒がしいから何かと思えば、あんたらかよ」


