ぞっとして強張った私の体へ、瞬時に腕が回された。
「騒いだらこの村壊しちゃうよ。大人しく来るなら、なにもしないであげる」
「えっ……」
腰にきつく腕を回され、身じろぎしても、びくともしない。
目の前が着物の色でまっ黒になる。
響の甘く冷たい声が心に入りこんでいく。
瞳が怖さで大きく揺れる。
私が騒いだら、この村はまた荒らされる……。
セツお婆さんや天くんたちがキズつけられる……。
イヤでも、脳裏に、恐ろしい赤色がよみがえる。
ずっと踏ん張っていた足から力が抜けた。
不甲斐無く膝が笑いだす。
呼吸が浅くなる。
私がこの人に大人しくついていけば、この村は襲われずに済むの?
私ひとりのこの体でどうにかなるの……?


