うすら笑いを浮かべる唇にイヤらしく舌が這う。
私は腕に渾身の力をこめた。
振り抜いた手、ほどける腕。
呆気にとられて口の開ききった響。
「イヤ! 絶対に行かない! 私は姫巫女なの、この村を守る!」
喉から絞り出した雄叫び。
私の中でめらめらとした闘志が燃えさかる。
一歩も引かずに私は彼を睨みつけ、腕を構える。
負けるものか。
負けてたまるか。
この村を守ると、私は決めたんだ。
けれど、彼は瞳を少しも動かさずに笑う。
ぞっとする、普通ではない笑み。
「君、面白すぎ。この間まで姫巫女だってことあんなに全否定してたのにさ。そういうリーダー面したヤツ、俺嫌いなんだよね」
頭上から押し付けるように、一気に軽さをなくした低い声。


