心で負けたら終わりだ。
響はまたも腹を抱えて笑う。
「なんでって、あはは! 決まりきったこと聞くね。君を迎えに来たんだよ」
響はふらりふらりとダルそうに体を揺らしながら一歩一歩畳の上を歩んでくる。
背筋に悪寒が走る。
だけど私は足の裏をピタリと畳に貼りつけた。
「覚醒した姫巫女を、いつまでも汚れた血のもとには置いておけぬと、総代様がご立腹でね」
彼はさもイヤになった風にため息をついて、頭を抱える。
けれど、一瞬目にもとまらない速さで彼の姿が消えた。
はっと息をのんだのもつかの間、何者かに強く腕をからめとられる。
「俺はもっと色っぽく君を略奪したかったんだけど、あの人つまらないからね。さあ、ちゃちゃっと俺らの城に行こう」
体がぐいと引っ張られる。
上を向けば、息のかかる距離に響の鋭い顎。


