いよいよ、3つの漆黒の翼が静かに降り立った。
緑の裏庭を漆黒が埋め尽くす。
凍りつく私の体。
黒装束の烏天狗2人を後ろの引き連れ、堂々とまん中に立つ男。
黒い着物に、まっ赤な腰帯をあしらっている、パーマ髪の男。
響だ。
響は、口角をつりあげて、私を舐めあげるように見ていた。
私はその視線に唾を飲む。
逃げ出したいのに逃げだせない。
響が大股で縁側に足をかけ近寄ってくる。
にじり寄る距離。
逃げ場も隠れ場ももうありはしない部屋。
不穏な笑みを浮かべて縁側に上りきった響。
無言の時間に、空気はひりついていく。
私は肩まで震えそうで、唇をかみしめなくてはいられない。
けれどその瞬間、響は楽しげに鼻で笑った。


