私は首をがくりと折る。
「そうですよね……。いや、いや、もう一回!」
今度は手の平にギュッと握りこんで力む。
「姫巫女さ~ん」
すると、どこかから浮ついた男の声が舞い込んできた。
私は首を傾げて、部屋の中から縁側の向こうを覗く。
「あっ……!」
私はすぐに息をのんだ。
鼓動が一気に騒ぎ出す。
真昼の水色の空に、3つのまっ黒な影。
一気に瞳を見開いた。
私は考えるより先に、鈴を布と一緒に丸め、後方にある鏡台の足下へ放り投げる。
あれだけは見つかってはならない。
私はそれを隠すようにさりげなく前に立つ。
後ろで握りあった手が尋常ではないほど震えていた。
足が凍りそうだ。