優しく手に包み込んで出てきたそれは、薄紅色の小さな布の包み。

花開かせれば、対になった鈴が現れる。

手が震えて、包みの上で鈴が転がりそうになる。

紫希は、むやみに出すなと言っていたけれど、触れたいと思った。

私は鼓動が大きく打つのを感じながら唾をのんでまじまじと見る。

長く誰も触れていなかった、顔もうつらない金色。

戦のあの日、お母さんが私に託してくれたのであろう鈴。

あれ以来、私が初めて触れるんだ。

私は恐る恐る右手で鈴をつまみ上げる。

少し揺れるだけで涼やかな音が耳をくすぐった。

この鈴が、姫巫女の力を引き出すと紫希は言っていた。

なら、この鈴を使えばいざというとき、私はこの村の力になれるかもしれない。

私は右の手からぶら下がるくすんだ鈴に、鋭い瞳をうつしてやる。

今、私にできることは、この鈴に助けを借りて、自分の力を引き出すことだ。