「私、紫希に戦の記憶を見せてもらったんです。見るだけでも怖かった。この綺麗な村からたくさんのものが奪われて」
話すだけでも震えそう。
なら、経験した人はどんなに怖かったの?
私は甘ったれている……。
だから、私は今、立ち止まってしまっている。
嫌いになるくらい弱々しい声が唇からこぼれ落ちる。
「でも、この村の人は、眩しいくらい優しくて、強すぎて。私では力になることすら……」
「それは違うよ。みんなすぐになんて、笑顔になれはしなかった。でも、16年の時はそれなりに長いよ。少しずつキズを癒してやっと笑えるようになった。その原動力の中には、セツ婆のように君の存在がいた人もいるんだよ」
根気強くて優しい七瀬くんの言葉。
私は崩れ込むように首を横へ振る。
「そんな……。私なんてダメ。私は醜いんだ。とても醜いの。ずっと助けてくれた紫希の恋でさえ、素直に喜べない。私は……、汚いんです……」
一番汚い自分を吐き出すのに、胸につかえた。


