紐でくくられただけの、白い花の小ぢんまりとした花束。
4枚の花びらのまっ白な花。
いくつもの花が身を寄せ合って、朗らかに笑っているみたい。
控え目な花びらがあどけなく揺れる。
私はこの花を知っている。
私はそっと手にとって、その花をよくのぞきこんだ。
「この花、この村へ来たとき天くんがくれた花……」
この村の人に、初めてもらった大切な花。
手の平に包めば不思議とあたたかい。
「とっても綺麗……。ありがとう……」
私は大切に胸に抱きこんだ。
「私にはもったいないくらい……」
目を伏せて、頼りないか細い声を漏らす。
こんなに素敵な花、私にはあんまりよすぎるプレゼント。
私は、泣きそうに唇をかみしめて、言葉も出ずに黙りこむ。
耳元で風が唸る。