「悲しいね。怖いね。なんで、戦なんかしなきゃならないんだろう」
紫希にまわした腕が強張ってしまう。
唇が震える。
紫希の記憶には、鮮明に焼きついていた。
炎や、血の、目にしたことのないほど恐ろしい赤の色。
私がこの村にきた日、ここはなんて美しい村だろうと思った。
質素だけど愛らしい家々、光輝く緑、優しく包む風、すべてが素敵だった。
なのに、そんな美しいこの村は、大切な命や愛を焼き尽くされたんだ。
震えなんて止まるわけがない。
なんで、あんなことができるんだ……。
戦って、なんなんだ……。
「戦なんて悲しいだけじゃない……」
私は無力に呟いた。
あんな残酷なことをする意味が理解できない。
私は下唇を噛み締めて、悔しさに歯ぎしりをする。


