けれど、その最中、目前で突如まっ白な太縄がどこからともなく出現し洞窟の入り口を封鎖したのだ。
「はっ……!」
少年は思わず声を漏らし、なお駆け寄り手を伸ばす。
けれどもその指先は勢い良く弾かれ、大きく尻もちをついた。
腕の中で赤ん坊の胸が眩しいくらいに光ってすぐに消えた。
少年は赤ん坊を強く抱きしめて、瞼の縁に涙をためた。
そして、洞窟めがけて拳をぶつける。
だが、そこにはまるでガラスの板があるみたいにかたく、手さえも入りこまなくなっている。
強力すぎる結界。
命のすべてをつぎ込まないとできないような強固な壁。
少年は手が赤くなるほど何度も何度も、見えない壁を叩きつけ少年はのけぞり、あちらと同じ色の青空を細い視界で睨みつける。
「姫巫女様ぁぁぁぁぁ! 父さぁぁぁぁぁん! あぁぁぁぁ!」
少年と赤ん坊の壊れそうな泣き声が、空に向かってとどろいた。


