狙われし姫巫女と半妖の守護者



「行け! はやく逃げろ!」

優しげな男の瞳がかっと見開かれ、喉が枯れんばかりの叫びが正面からぶつけられる。

叫ぶ男の肩は切り裂かれ、もうすでにその体はボロボロに地へ崩れようとしている。

けれど、そんな丸腰の男の背後で、鋭く黒い爪が振り下ろされようとしていた。

「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

少年は狂い叫ぶ。

足に張った根を断ち切り踵を返し走り出す。

「おい、はなせ! 汚れし血のくせに!」

「がっ! ぐっ! 絶対に息子の命は狩らせん!」

後ろから聞こえくる鈍い音。

絞り出したように苦しげな、男の覚悟の声。

まっすぐに続く道が歪んで見えた。

「父さん! 父さん父さん父さぁぁぁぁぁぁんっ!!」

愛する者の名が痛々しく、燃えさかる村にこだました。

もう返ってはこない返事に少年は泣き狂う。