たくましくいかった肩が血にまみれている。
「父さん!!」
ひときわ鼓膜を強く叩く少年の声。
狂ったように何度も何度もその男へ向かって泣き叫ぶ。
するとその時男の前にいた烏天狗が、男を蹴りとばした。
横へなぎ倒される男の巨体。
視界いっぱいに迫ってくる牙をむく烏天狗の顔。
視界はぐらりぐらりと揺れながら後ずさる。
いやしい黒い爪の伸びる指先から黒い火花が飛んだ。
しかし、短いうめき声に続いて、眼前で赤い血飛沫の花が舞い散っていく。
視界を優しいぬくもりが包み込む。
ひげで毛むくじゃらの男の、光る黒い瞳が視界いっぱいに映った。
「お前は必ず生きのびろ、紫希! 父の最期の言葉だ。絶対に、生きてくれ」
重い金属の音がした。
男は風のように自身の腰から一振りの刀を鞘ごと引き抜くと、少年の腰帯にそれを突き刺し、少年を突き飛ばした。


