風が巻きあがって押し返されていく。
姫巫女はたったひとりで胸を張り、烏天狗たちの前に立ちはだかり続けていた。
それはまるで、この村を守る強大な盾のよう。
否、これはもっと壮大で強いなにか。
そう、これは、この村を愛で抱き包む母のよう。
彼女の輝きは愛なのだ。
強くしなやかで、優しい母の愛。
そんな愛が光の粒となって彼女を煌めかせる。
大きく広げきった指先までも愛に溢れて輝いている。
彼女の背中は、気高く凛と咲いた花のように美しい。
しかし、無情な声は淡々と響いた。
「バカな女よ。かかれ」
静かに動いた老人の口。
そんな短い一言で、従えていた黒装束の者どもはこちらめがけて地を蹴った。
あっという間に迫りくる黒き壁。


