やがて音がやみ、しゃがれた声がした。
「左様。烏天狗総代のわしと次期総代の孫とともに、姫巫女様をむかえにあがったのじゃ。今日来訪なさると聞いておりました故、ささやかながら我が城に招く前の余興をと」
大きな漆黒の翼に黒い装束をまとった男たちがずらりと横一列に並んでいた。
そしてそのまん中には、隆起した老木の杖をついて腰の曲がりきったおじいさん。
立派な口髭を優雅に手で撫でながら、微笑んでいる。
その隣には、泣きぼくろのある小さな頬を業火の色に染めながら佇むひとりの男の子。
腰の曲がったおじいさんと背丈は変わらないだけに、年の頃は7、8歳と見える。
けれど、そのあどけなさの残る顔は、燃えさかる炎にも、どこか遠くから響く戦乱の音にも、少しだって動じることはない。
ぞっとするほど感情のない子供。
「なにが余興だ! 民の命をゴミのように扱って! ふざけんな、じじい!」
姫巫女の足は大地を鳴らし、今にも殴りかからんと、拳を構えたのだった。
だが、烏天狗の総代だと名乗った老人は、一瞬にして目を見開くと、勢いよく杖を振り上げた。


