狙われし姫巫女と半妖の守護者



巫女服姿の長い黒髪の女性が、速足で駆けてきて怒鳴りつける。

その目には凄まじい炎が映りこみ、怒りにうち震えていた。

だが女性の両腕には、まっ白なおくるみに包まれ眠る赤ん坊が大切そうに抱かれている。

「姫巫女様、助けてください! 突然攻め込んできてみんなが!」

視界が激しく揺れて、泣き叫ぶ少年の声がひときわ大きく響き渡った。

「落ち着くんだよ、紫希。凛を頼めるな?」

女性は屈んで強く言い放つと、視界に映りこむ細腕に赤ん坊を預け、あっという間に駆けだした。

その時、ひげ面の大男が走り来て、女性は鬼気迫る声を絞り出す。

「如月、どうなっているんだ!? 皆は、皆は……!?」

男は姫巫女の声をきくなり、がっくりと膝折った。

「申し訳ございません! 一時間ほど前に攻め入られ、多くが討ち死に……」

すると報告の最中で、戦場には不似合いな、悠々としたテンポの足音がじわじわと近付いてくる。