イジワルにそう言いながら、縁側の方へと歩いてくる紫希。

私はちょっぴりむくれて、胸へ向かってむんずと薄い寝間着をかきあわせ、くるりと庭の方へ方向転換をした。

子供とか、俺だからとか、そんな小細工みたいな理由をつけたって、私は知っている。

私よりも紫希と年が近くて、素直で可愛いあんずさんを好きなこと。

「ふん、私はどうせ子供ですよ」

私はばつが悪くて俯き、裸足の指をバラバラと動かしてすねた。

あんな風に笑いながら、きっと私の心配をして様子を見に来てくれたっていうことはなんとなくわかるんだ。

でも、変な理由をつけて隠すから、もやもやする。

本当は私になんて関係のないことなのに。

今はそれよりもずっとずっと悩んでいることがあるのに。

いいよとも言っていないのに、俯く私の視界の端に胡坐をかいて座り込む紫希の姿が映った。

「今日はいい満月だな」

そう声を漏らす紫希をよく見ていると、手からとっくりをさげていた。