いくつもの切りキズをおったそんな心で、なんで、立ち上がれるの……。

彼は今、孤独に震える一匹狼みたい。

大丈夫だと強ぶって、痛む古キズに身をよじりながらも、前に進むことしか知らない不器用さ。

瞳だけは子供のように、悲しみに潤んでいるというのに……。

「なんにもできずに泣き叫ぶ子供の、惨めな気持ちがわかるかよ? そんな惨めなヤツを生み出さないためなら、俺は、子供にだって、いや、だからこそ刃を持たせるさ」

最後の言葉は上ずっていた。

そのくせに、目を鋭く細めて殺気立とうとする。

一瞬だけ、泣きじゃくる子供の乱麻くんが微かにダブって見えた気がした。

代わりに、私の涙が溢れてくる。

乱麻くんは、両親を失った自分のことを話しているんだ。

だからこんなに、心が泣き叫んでいるんだ。

乱麻くんは天を仰いで、荒く大きく息をつく。

「平和ぼけした姫巫女さんよぉ、もう、余計なこと言ってくれるなよ」