お婆さんはこんなに背中が丸くなってしまうほど長い間、お母さんを忘れずに想っていてくれたんだ。
胸が焦げそうに熱かった。
降り注ぐ太陽よりも、今胸に抱くお婆さんの方があたたかくて哀しかった。
するとふいに、カチャカチャという騒がしい金属音が近づいてきて、私はお婆さんからそっと身を剥がした。
その時響いた、天くんのとおる声。
「あっ、乱麻兄ちゃん!」
「おう! 元気にしてるみたいだな、天」
荷車を止めて、気さくに肩腕をあげて挨拶を返す赤髪の癖っ毛が目の前にいた。
私はなぜか反射的にお婆さんの後ろに、すたこらさっさと身を隠す。
「うん! 今、凛お姉ちゃんが遊びに来てくれてるんだ」
えっ!?
天くんが元気に私の方を指さしてきて、ゲッと漏れるはしたない悲鳴。
すぐさま、イジワルげに細められた乱麻くんの視線が突き刺さる。
そしてなにも言わずに、ふふんと鼻で笑って、止めた荷車の中に手を伸ばし始める。


