「そんな果てしない日々の中で突然、セーラー服を着た髪の長い美しい女の子が、村に現れたのです。まだ細く小さい体でいながら、威勢よく烏天狗の一軍を追い払ってくださった! その方こそ涼子様。皆は、姫巫女様の再来だと言って、神の如く彼女を崇めたてまつりましたよ」
傾きだした太陽の方を見つめ、口元を綻ばせるお婆さん。
空はまだ綺麗に青く、遠く先を見れば草原がゆったりと波打っていた。
くすりと、耳のそばで少女のような笑い声が聞こえる。
「けれど、彼女は天真爛漫な人でね。皆が崇めればやめてよと豪快に笑い飛ばし、気がつけばいつも、子供の輪に加わって草原を駆けていた。そして、正義の味方みたいな人でした」
私も思わず笑う。
お母さんは、私よりもずっとはきはきした人だったのかな。
目の前でピョンピョンと跳ねながら行きすぎる天くんのような子供を見たら、まっ先にその遊びに飛び込む、子供のような人だったのだろうか。
ふと、お婆さんの方に顔を向けると、お婆さんは私のいない反対隣に顔を向けていた。
縁側の板にそっと円を描きながら撫でる手。


