「そういえばさ、天くんはひとりで遊んでたの? お父さんとお母さんは?」
天くんはしゅんと背中を丸めて、ゆっくりと首を横に振る。
「戦の準備のために仕事をしに行くって言って、朝からいないの。最近いないことの方が多いんだ」
私の腕で包んでも余ってしまいそうな小さな背中が泣いていた。
“戦”
また聞いたその言葉。
それもこんなに小さな子の口から。
私は拳を握って勢いよく立ち上がる。
戦なんて知らないし、嫌いだ。
こんなに小さな子の笑顔を奪うなんて絶対間違っている。
でも、私に今できることはなんだろう。
私は固く握った拳を開いて眺めた。
できることなんてたかが知れている。
今すぐに戦を止める力なんてない。
なら、なにならできるだろう。
私はくるりと振り返る。


