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「はぁ~」

小さな花瓶に飾られた一輪の白い花がため息でもう何度揺れただろう。

「暇すぎです……」

今平らげたばかりのお昼の膳を見下ろして、私は手足を投げ出し寝転んだ。

開け放した縁側の向こうで、さぞ楽しげに小鳥が歌うから、苦笑い。

半妖の村、滞在2日目にして、私はここでやっていけるのか、大いに不安になっていたのだった。

いつもと違う日常は、もう朝から始まった。

眠気眼で体を起こしたばかりのタイミングで、そそくさと部屋に入ってきた女性に思わず度肝を抜かれ……。

くるくるとまわされるように、着物を着換えさせられ、きちんと髪まで結われ、一気に私の出来上がり。

そうすれば間髪をいれずに、朝のお茶と膳が部屋に運ばれ、私はまるでベルトコンベアーにでも乗せられたよう。

戸惑いながらも美味しいご飯にうっとりして食べきると、ちょうどいいタイミングで忍者のように世話役の女性が現れる。