けれど、かやぶき屋根の左側のずっと彼方のぼうっと霞んだ先に、なにか高いものがそびえているのが見えた。
目を凝らせば、白い漆喰に黒い瓦の城の天守閣のようなものが見えてくる。
「そういえば、あっちに見えるあの大きなお城のようなものはなに?」
私は険しい目であれを眺めながら、指し示した。
でも、七瀬くんはなかなか口を開かない。
おかしいと思って七瀬くんの顔を覗き込むと、城の方を向こうとせず目を伏せて、口を開きあぐねていた。
私は、あっと息をのみ、目を丸くする。
「あれって……、烏天狗の……?」
恐る恐る探りながら口にしたその名。
七瀬くんは黙って俯いているけれど、反対隣から突然聞こえてきたのは寒気がはしるような鼻先の笑い。
ぞくりとして、瞬時にそちらを向けば、乱麻くんが歯をむき出しにして口を開いていた。
「そうさ。この草原を超えた先に、烏天狗の野郎どもの街がある」
真横で光る、乱麻くんの鋭い歯。


