そうしていると七瀬くんが、大きな屋根を見上げて口を開く。
「ここが姫巫女様が住むためのお屋敷。幸い、ここは16年前の戦で生き残ったんだ。凛ちゃんのお母さんが、この村にいるときに寝泊まりされていた場所だよ」
「お母さんが?」
私は思わず七瀬くんをすぐに見上げた。
七瀬くんは俯いて私を見ると、穏やかに目を細めてくれた。
「そうだよ。村人は、この家を先代の姫巫女様だと思って、焼けた村をここまで復興させてきたんだ。ここには凛ちゃんのお母さんの、不思議な力が宿っているのかもしれないね」
私はそれを耳にして、もう一度この大きな屋敷を見据える。
この歴史を感じる家で、お母さんが暮らしていた……。
ここにきて、お母さんの思い出の欠片がいくつも散らばっている。
さっき見てきた再生した家でさえ、お母さんの欠片になっているのかな。
そんなにみんなに愛されるほど、お母さんは大きな人だったんだ……。
あたたかくて、なにかずしりと重くて、私はそんな想いを噛み締める。


