ぐいぐいと私を引っ張りながら歩く、赤い癖っ毛の男の子。
私をあのシーンからどんどん引きはがしていく。
私は引っ張られたまま鼻をすすって、苦しい喉の隙間で呟いた。
「ありがと……」
「はっ? とっとと歩いてよ」
乱暴な乱麻くんは決まって冷たく言い放つけれど、今はその強引さがありがたい。
私はきっと、あのままいたら、自分でも説明のつかない涙を流していた……。
だから、砂利も蹴飛ばして私は進み振り返らなかった。
それからしばらく歩いた先で、私は顔をあげ、思わず吐息交じりに声を漏らした。
視界いっぱいにそこに佇んでいたのは、この村の中でひときわ大きくずっしりとしたかやぶき屋根。
私の家など比べ物にならず、長い緑の垣根が敷地をぐるりと囲む、大地主のそれはそれは大きな立派な家。
他の家よりも、壁や大きな木戸が年をかさねて重厚に黒ずんでいる。
私は口を半開きにして、立派な屋敷にあっけにとられていた。


