私は、似た痛みを味わったことがある。
そう、紫希からだ……。
つくづく思う。
悲しみを、笑顔で覆うこの村の人々は、烏天狗なんかよりずっと強い人たち。
煌めきに忘れそうになるけれど、ここは焼かれた村。
なのにここが今こんなにも生きているのは、着物があんなにいたむほどの働き者なこの人たちがいたから……。
私は俯いて拳を握る。
私は本当に今度こそ、この手の平に大切なものを掴めるんだろうか……。
美しい笑顔は胸の重りとなり、小さくて無力な足を再び動かそうとした。
でも、私はハッと目を見開いて、顔だけ振り向いてしまった。
「紫希、おかえり」
爽やかな一陣の春風が、私の頬を切りつけて、駆け抜ける。
甘い香りが、胸を刺す。
ねえ、私はいつから、その名を、姿の在り処を、すぐに追えるようになった?
後方であの薄灰色の着物がはためいた。
そんな紫希の大きな手を、私よりもしっかりと絡ませている白くか弱い手があった。


