「凛様だわ」
「ああ、凛様」
私の名を、お爺さんが、同年代ほどの女の子が口々に紡ぐ。
様という言葉に私は心底恥ずかしくなる。
だって、私なんかよりこの人たちは、ずっと優しくて強い素敵な人々なんだ。
自分は遠く及ばないけれど、私は何度も何度も頭を下げながら前へ進んだ。
「凛様、凛様、大きくなられて! この婆、死ぬ前にはお会いしたいと……!」
突然とどろいた、喉が潰れてしまいそうな悲痛な叫び。
耳に痛いほど刺さり、私は青ざめて身をひるがえす。
するとそこには、顔にいくつもの苦しげなしわを寄せる腰の曲がったお婆さんがいて、私へと向かってしわがれた手を懸命に伸ばしていた。
「お婆さん!」
私は慌てて駆け寄りその手をとってびくりとする。
細く、指に感じるのは硬い骨。
でもそれを気にする間もなく、お婆さんの落ちくぼんだ黒い瞳から、幼い子のようにぽろぽろと涙が零れ落ちていく。


