「おい、もたもたするな。つくぞ」
すると、ぼうっとしていた私の背中に、ずぷりと紫希の冷たい声が刺さる。
私はなぜか反射的に姿勢をただし、兵隊のようにまわれ右。
紫希の怪訝そうな瞳が私に向かって光る。
「いいか。外の光に、目、眩ませるなよ。さあ、一歩踏み出すぞ」
紫希の足が地を離れたのを見て、私は目をギュッと瞑り踵を地面から高く離した。
その一瞬で空気はがらりと変化した。
風音がいつになくくっきりとクリアに耳へと飛び込んでくる。
目を閉じているのに、不思議。
風は強いどころか、私の周りを包むように優しいのに、ねえ、不思議なの。
光の透けるまっ赤な瞼の裏側に、キラキラとカラフルな光が飛び散っている。
なぜ、風さえもこんなに鮮やかなの?
さっきまで洞窟にいたこともどうでもよくなって、私はパッと瞼を押し上げた。
一瞬見開いた目にうつった、透明に煌めく青、宝石みたいに光輝く緑。


