「必ず! 父さんの娘として、無事に帰ってきなさい」
私は風を切って振り返る。
太陽にさんさんと照らされたお父さんの顔は、しわくちゃで濃い陰影ができていた。
私も一気に顔をしわくちゃにする。
胸があっという間にいっぱいになって、熱くなる。
私は声もなく、ただ力強く頷いた。
潤んだ視界に、涙を堪えてしかめ面になったお父さんがうつる。
私のために、こんな顔をしてくれる、唯一の家族を疑うのはやめよう。
私は絶対に笑顔でここへ帰ってこよう、鈴代凛として。
だからもう、二度と振り返りはしない。
強い太陽とお父さんの泣き顔をやきつけて、涙を取り払う。
私はさっきよりもより強く、地を蹴った。
*・*・*・*・*
そうしてついに歩きついた洞窟の前。
足元は青い草が埋め尽くし、まるでビロードのように風に撫でられていく。


