出立のために紫希が、七瀬くんを真央の家から、乱麻くんを半妖の村の見張りから、早急に呼びもどしてきてくれたのだ。
みんな、休んでいないはずなのに、疲れひとつ見せずに、佇んでいる。
「そうだ、こんなに早く行かなくても。心細いだろう?」
七瀬くんは困り顔をして眉間にしわを寄せる。
私は微かに微笑んだ。
七瀬くんは、ほっとできるくらい優しい人。
「いいじゃん。本人が決めたんだからさぁ~」
乱麻くんはいつものように頭の後ろで腕を組んで、子供みたいに口をつんと尖らせる。
相変わらずちょっぴり意地悪な言い方に、私は思わず苦笑する。
「乱麻なぁっ」
重いため息をついた七瀬くんが、乱麻くんの頭をチョップして、おかしくてたまらずまた笑う。
ケラケラと声を出して。
初めて会ったときは冷たくて意地悪な人って思った。


