お母さんは強い人だったというのに、私はダメだ。 信じなくてはいけないお父さんを、信じられずにいる。 烏天狗が怖い。 人間の世界ではない、それも戦のはじまる村に行くなんて震えあがりそう。 なのに、紫希たちにキズは負わせたくないなんて、私はずるい。 私は頭を抱える。 いったい、私はどうしたいの? 守られる資格がないのは私の方だ。 肩にかかっている羽織が、今はとてつもなく重かった。