張り裂けてしまう。
この人が、腹立たしいくらい、悲しいことばかりを言うから。
私は顔をあげて叫び返す。
「紫希だって私と一緒じゃない。大事なお父さんを奪われて」
「違う! ただの役目を果たせなかった守護隊だ! 罪は俺にあるんだ! そんな俺の望みはただひとつ……」
布団に叩きつけられた拳の鈍い音。
紫希は私の言葉をかきけして、静かにまた私を見据えた。
今度は揺らがない。
「凛、俺にお前を守らせてくれ。俺はもう、大切なものを失いたくない」
涙は消え去り、赤く染まったふたつの眼が私だけを映し出す。
言葉とともにその瞳が胸に焼きつく。
紫希は落ち着いて更に続ける。
「そして、涼子様と俺の父が守ろうとしていた村も、守り抜きたい。烏天狗のヤツらにひとつのキズもつけられたくない」
すると紫希は、私が瞬きをする間に、また深く頭を下げたのだ。


