ただの臆病者なのかもしれない。
甘いことばかりを言っているバカなのかもしれない。
だけど、それでも私は変われないと思うの。
その瞬間だった。
砂を擦りつけて噛みしめたような音がとどろいたのは。
私は手の甲で慌てて涙をぬぐいさり、そこに広がる光景に呆然とした。
「すまなかった。許してくれ」
私は腕を投げ出して声を失う。
私の目線よりも下に、あの大きな背中が丸められている。
紫希の節くれだった手は、膝の前に綺麗に指をそろえてつかれている。
黒髪が覆いかぶさった頭は、床板に今にもつこうとしている。
「悪いのはすべて俺だ」
まっすぐな声が足元から響く。
こんなに頭を下げて、これではまるで土下座……。
「なんで、紫希が……謝るのよ?」


