あの言葉が呪文のように響くの。
その疑いを、私は向けてはいけない人に向けようとしている。
「お父さんは、お母さんとの思い出話すらしてくれたことはないのよ。聞けば、不機嫌になってイヤがった」
私は息を吸い込んで慌てて言葉を引き取る。
この先の言葉は絶対に言ってはならない。
私は歯ぎしりをしてその言葉を噛み殺す。
だって、そんなことがあってはならない。
頭を振って、その考えを懸命に打ち消そうとする。
でも、胸の中はぐちゃぐちゃになって、心を締め付ける。
「もう、混乱してるのよ」
心はとげとげしくなり、噛みつくようにしか私は話せなくなっている。
「たとえ思い出の欠片でも、私はお母さんに会いたくてたまらなかったのに」
涙は勝手に流れ出る。
「なのに、私に守りの術をかけるために、お母さんが命を使いきったなんてきいたら、私はどうしたらいいの!?」


