その背中に全部背負わせることなんて、私はちっとも望んでいない。
私は迷いなく腰に抱きついた。
背中に頬をぴったりとつけて、私はきつく腕を回す。
「家には、帰りたくない……。お父さんに、会いたくないの」
揺らぐ声で、背中越しに訴える。
紫希をはなすまいと懸命に力を込める肩が外れそうだ。
「お前、ヤツの言葉で!?」
私の腕の中で彼が激しく身じろぐ。
だから私は必死にしがみつき、声を張り上げた。
「違うって信じてる! でも、100%信じられないんだから、しょうがないじゃない!」
流れた涙が、薄灰の着物に染みを作る。
彼は時が止まったみたいに動かなくなった。
黙って差し出し続けられる背中に私はしがみついている。
私は最低だ。
“お主もよく知る者が裏で手引きをした”


