そっと私の指を少しずつ広げて、その大きな手ですっぽりと包みこむ。
指の腹で感じる紫希の手の平の硬さ。
涙が出そうにあたたかい体温。
顔は見ない。
節くれだったこの手だけで十分で、私はひくつきそうな喉を手でおさえ、瞼をきつく下ろした。
「凛、お前の16年間はずっと、母親の愛とともにあったんだ」
いつになく、頭上から降る声が優しくて、閉じたはずの瞼の間からおさえられなかったものが溢れていく。
私は喉をおさえていた手をずらし、痣のあった場所を探る。
大切に手の平を押し当てる。
胸が熱い。
なにかが喉までこみ上げそうだ。
ずっとずっと会いたかったお母さんが、この胸にいた。
私を守ってくれていた。
涙が頬を伝って止まらない。
私は俯いて、なんの言葉も返せぬまま黙っている。


