すると、急に乾いた音がして、顔をあげれば紫希の体の向こう側の壁がほのかに色づいていた。
足を抱え込む腕から力が抜ける。
紫希は布団の端近くにすとんと腰を下ろし、ずっと一点だけを見つめていた。
脚が長く黒いろうそく台の上で揺らめく光を。
小さい光が、くらくらと揺れながら壁や床に投影される。
私も飽きずにぼんやりと見つめ続けた。
周りしか照らせない、息がかかれば消えそうな儚く、非力な灯火。
風のない場所で守られて、呑気にぬくぬくとしているの。
まるで、これまでの私のように……。
そんな私の耳に紫希の声が、私に耳へふいにしみこんだ。
「お前がなにも知らないのは当然だ」
私は目を丸くして彼を見る。
彼はようやく私へと向き直り、私をじっと見据える。
「それは、妖怪の世界での成人、16歳の誕生日まで有効な術。お前の中にある姫巫女の能力を眠らせるための、封印だった。お前にすら、秘密にしていた」


